ノンフィクションSS「Lost Heaven」
第一話ノーカラーファンデーション BGM PENISILLIN「螺旋階段」
小学校時代の学校と教師と家庭環境から人見知りの性格から人間不信に陥り、ただひたすら生きているだけの人形だったかもしれないあの頃の自分。
溢れる涙を抑えていた事から泣く事もできなくてただひたすら我慢していけば物事うまくいくと信じていたあの頃の自分。
そう時間が解決してくれる。
それに関した自分は何もいっちゃいけないんだ。
自分の意見は不要なんだ。
誰も望んでいないんだ自分の意見なんて。
そう決めて他者に気持ちを伝える事をやめてから3年後
自分は不良、レベルが低いと評判になっている私立高校へ進学した。
ここでも3年間何事もなく、平穏に、自分を殺していけば何とかなる。なんの希望もなく桜咲く校門を通った。
新しい制服 憧れだったブレザー ローファー だけど肝心の中身の自分がここにはいない。
存在なんかしちゃいけないから。
存在したら他人と衝突してしまうから。衝突するぐらいなら初めから存在を消したほうがいいから。
誰も傷つかない。自分自身も傷つかない。
それがベストな方法。
だからこんな自分を探す気はしなかった。
みんな自分に優しくするのは自分のためだから。
本当に自分を必要としているわけじゃないから。
甘えちゃダメだ。求めちゃダメだ。
どこを探してもいない。
そんな形だけは高校生としての生活をはじめた自分。
そんな自分の前に現れた光はとても温かく、そして太陽の光のように残酷に自分の中の醜さをさらけ出す存在と出会った。
他人の名前がこんなに鮮明に聞こえたのは初めてなのかもしれない。
殴られる痛みすら感じずに
暴言すら他人事のように受け止めていた自分に響いた声は心地よく
身にまとっている病院特有の香りですらいい匂いがした。
第一印象・・・本当に同級生?発言がもう大人じゃないの まぁおじさんくさいなぁというのが第一印象でした。
なるべく人を寄せ付けないように接していた自分にも隔てなく、フランクに話し掛けてくれるから徐々に自分も言葉を発していくようになった。
高校に入ってはじめて覚えた名前と顔の人。
名前は綾瀬大介君(本人のプライバシーもあり仮名です)
最初に覚えた人が後の自分にとっての光になるなんて思いもしなかった。
真っ暗な闇におちる気もなく、かといって温かい光の元に行くには自分はできなくて
ただひたすらもがいていた自分に差し出してくれた言葉は優しくて、強くて、そして儚かった。それが自分の綾瀬君に対するイメージ。
小学校の時に(裏テキスト参照)学校からも家庭からも見放されて、もう学校に行きたくないと何度も言って家に居座った時があった。
そのときに父親から無理やり外に出されて、物をなげられ「さっさと学校にいけ」と言われた時自分の心は完璧に壊れてしまった。
もうどこにも頼っちゃいけないんだ。
拠り所を求めちゃいけないんだ。
心のつながりなんて10年以上たってもできやしないんだ。例え血を分けた家族ですら分かってもらえないんだから。
だから自分は何も背負いたくない。
なんの他人の気持ちにも押されたくないから深追いしない。
拒まれたらそのまま撤退すればいいんだ。人なんて誰を見ても同じなんだ。
そういう考えと人間不信が絡まってできた存在がなんの自分の色をもたない自分ができた理由。
あくまで深く思わずに、うわべだけの付き合いだけにしておけばいいと思っても、徐々に綾瀬君の言葉に共感している事に気が付いた。
ウィットに富んだ話、いろんな顔をして変わっていく会話のテンポ、誰に接していても変わらない姿勢
そんな所に徐々に惹かれて
「おはよう。綾瀬君」
初めて自分から声をかけた。
声震えていたのかもしれない。しかも同性じゃない人とは殆どしゃべった事がないからすごく緊張する。
だけど伝えたかった。
「おはよう。糸永さん。初めてだね糸永さんから僕に話し掛けてくれるなんて。ありがとう。」
その声が優しくて、今までの不安や緊張をほぐしてくれる態度だからますます体が強張ってしまう。
そんな風に返された事ないから。
人に挨拶する事が当たり前の付き合いなのに、自分からは挨拶しない自分のことを気付いてくれて、挨拶を返してくれる。
その言葉だけでよかったのかもしれない。
良かったこの人とであって。
そう思った人 自分の中の一番を見つけた気がした高校一年の春の出来事。
色をもたない糸永に色を与えてくれた人の出会い。ここから始まりです。
他人から見たらちっぽけなことなのかもしれない。でも自分にとっては最高の出会いだった。
そんな出会いと別れをこっそりとあなたに教えます。