蝋人形の館 「約束」 朋華 I’veサウンド BGM Days of promise
              赤光 レミオロメン BGM 3月9日

大切な物は二つも選べないだから私は輝志を選んだの。
家族も過去も捨てて輝志だけを選んだの。
選んだのに私は肉体は死んでしまって でも心は輝志がいた蝋人形の館に置いてもらって
もう一度こうやって輝志といられるようにしてくれたのは私の案内人をしてくれた輝志の先輩琥珀さんの厚意だった。
その代わりに琥珀さんは力を使い果たしてしまって、侵入者に命を奪われて
また輝志に死の悲しさやむごさを押し付けてしまったけれど、こうやって傍にいられるだけで幸せだった。

ここは聖歴(せいれき)20xx年 ここは春夏秋冬という季節がなく一年中雪の静かな場所だった。
そこが私の二番目の居場所 第二のスタート地点

水原鷹晶さんに連れられてやってきた時は寒いねといいあって
かじかんだ手をぎゅっとにぎってくれた。
その温もりが一度死んだ時に最後に与えてくれた温もりと変わらなくてほっとした。

でも自傷行為で傷つけてしまって視力を低下させたからかけている片方だけの眼鏡
でもレンズ越しの目は優しさは変わっていない。
外見的に少し変わったし、やせた感じがするけれど違うのは外見だけじゃない。
新しい場所だけど何でもどこでもなじんでしまう適応力
戦いなれして出来た傷跡とまだ一度しかこの地を荒らす魔族に遭遇していないけれどそれも簡単に片付けてしまって
私が見ていない間に貴方はどこへいたの?
私が傍にいられない代わりに得た強さはどこからきたの?

その質問をすると優しく微笑むだけで何も話してくれなかった。
だから私が生きて住んでいた世界からここにきた要ちゃんこと浅倉要ちゃんと琥珀さんに蝋人形の館時代の輝志を聞いてみた。
差し出された紅茶で体を温めながらカップに手をつける。
琥珀さんは私が死んだ後の輝志を案内人として館に招き入れて、自分の後を継がせる為に鍛錬や何よりも悩みを共有できるような
強さを教えてくれたみたいだ。
「まぁあいつは最初は廃人に近かったけれど、今はこうして笑っていられるんだから俺のおかげだな」
「ちょっと・・・琥珀過大評価しすぎだよ自分の事」
やんわりと介入してくる要ちゃんに対して
「廃人をここまで成長させる切欠を作るのも骨を折るくらい大変なんだぞ。
お前だって音楽捨てようとしていたのをまた音楽はじめられるように導いたのは俺のおかげ。
感謝される事はあっても恨まれる事はしていないぞ」
やっぱり自他共に認めるサドで自信家だ・・・・この人。

「ごめんなさいね朋華さん。琥珀っていつもこんな感じなんだ。でもね私は2回しか赤光・・いや輝志さんに出会っていないけれど
優しいけれどどこか一線おいているかなって感じたよ。
その一線を越えないように深く感情を入れていないというか、あ、ちゃんと案内人としての仕事はしているんだけどね。
でも朋華さんに対してはその一線がないし、私は今の方が好きかな。なんか輝志さんの笑顔って春をイメージさせる優しさなんだよね」
「じゃ俺の笑顔は?」
「何ていうか・・・・何かを腹黒く考え込んでいるって感じ」
「この今夜も泣かすぞ」
「ちょ・・・ちょっとまってよ。昨日もその前もしたでしょ?私体もたないよ(汗)」
「尚更泣かせたくなった。という事で俺は今から仕事だから出かけるけれど二人はゆっくり話して、でも夜には要は俺のモノだからね♪」
こ・・・怖い事をさらりと言っているけれど
この二人ってどこかずれているバカップル?昨日もこの前もって何よ?
私なんか 私なんか

ここに来て初日しかしていないんだよ(泣)
定職つくまでハンターで魔族を倒しながら収入を得ながら仕事を探す事と、ハンターの仕事で夜も遅くてぐったりして寝る為だけに帰ってきたって感じ。
私にはこの世界に適応できるだけの戦いもできないし、私も何かをしようと思っているけれど中々見つからなくて
話し相手がいないからこうやって要ちゃんと話したりとか鷹晶さんの奥さんの千秋ちゃんに話し兼愚痴を言っていくことで発散している。
私も折角生き返ったんだから前みたいに目標もってがんばらなきゃと思うけれど中々うまくいかなくてもがいている。
ここに来て三ヶ月目 雪だらけの場所に温かい風が吹いて
ぽかぽか陽気で洗濯物を忘れるくらい気持ちよい風がふいてせわしいこの場所特有の忙しさを忘れて家事を止めて眠り込んでしまった。

「・・・華・・」
温かい温もりと甘い香水の香りが心地よくてもう少し眠たかったけれどその声を聞いてしまったら目を覚まさなきゃと思って目を開けた。
「朋華。そんな所で眠っていると風邪ひきますよ。」
「あ、輝志おかえりなさい。どうだった?」
「ああ、内定もらって明後日から出勤です。」
ってことは定職つけたってこと?
「やったじゃない。今日はご馳走作るよ。今から買い物に行こうよ」
「まだ未発達な生命保険会社の社員ですけれどね。それと今日は朋華に大切な話があるんです。聞いてもらえますか?」
もう外出準備万端な所を止められてちょっとショックだったけれどもしかしてこれって・・
「僕と結婚してください」
えええ・・・・・・
「やっぱり僕じゃダメですか?」
嬉しさと突然言われてしまって不覚にも泣いてしまったから心配そうな顔で私の顔を覗き込む輝志と何時でも逃げられるくらいの強さで抱き締められて
「ううん。突然だったからビックリ涙でちゃった。私の返事はもちろん結婚OKだよ」
「よかった・・・・あ、僕ももらい泣きしてしまいました」
二人で泣きながらハンターで体で働いた結晶として渡された婚約指輪をはめてもらう。
それから二人で町を見て食材と花を買って帰って、市役所に行って入籍届を書いて提出した。

「ねぇ式のお色直しは何回する?」
「それよりもちゃんと式あげるの?」
せわしくせきたてる私の質問に苦笑しながらも
「大丈夫です。朋華がOKだったらすぐにでもできるように鷹晶さんと相談乗ってもらったから何時でもいいですよ」
私の心に青空が見えた感じがした。
初めて交わした約束「ずっと二人でいよう」といってくれた言葉がやっと実現するんだね。
もう私は一人じゃないよね?
裸になって抱き合っている時聞いたら「好きだよ」と答えてくれて僕が傍にいるよと答えてくれた。
「ずっとこれからも一緒ですよ」
貴方にそうやって言葉と態度で示されるとあふれ出てくる涙と知らず知らず貴方の顔がゆがんで見えてしまう。
一緒に入れなかった時間はこれから新しい思い出増やしていって新しい私たちの道を作ろうよ。
過ごした時間は短いけれどこれから始まる長い道のり一緒に乗り越えていこう。
きっとお互い変わる物があるから。
貴方の温もり、息遣い、頭を使うことじゃなくて肌で感じることすべてが輝志をもとめているから。
貴方と同じ夜に包まれている腕の中いつまでもずっとそうしていたいよ。

だからぎゅっとしていてね。これからも 断絶の祈りの果てにあるものそれは私にもわからないけれど輝志と二人ならきっとわかるはずだよ。
もう引き返せない。振り向かない今を生きようね。